ナノ精度の加工プロセスを使った次世代型生体医療材料の実用をめざして。
日本のものづくりが世界を牽引する力を維持するためには、これまでにはなかった新たな技術が必要です。その一つがマイクロ機械加工(Micro/Meso Mechanical Manufacturing)を利用して、材料の表面に様々な機能をもたせた「機能性インターフェース」を創成する技術。ナノ精度加工技術を利用してものの表面を単純に磨く、あるいは精密に成形するだけではなく、プラスアルファの機能をもたせるところが、次世代型といわれる所以です。
この技術は、生体医療材料と呼ばれる人工歯根(インプラント)や、人工関節、人工臓器、人工血管のような生体・医療用デバイスへの応用をはじめ、幅広い分野への波及効果が期待できます。また、急速に進む高齢化社会にあって、体の中で定められた機能を果たしながら、生体組織や細胞に対する高い親和性、そして耐久性を発揮するデバイスが実用されれば、高齢者はもとより、ケガや病気などによって生体医療材料を必要とする人々の負担を軽減することにつながります。
生体医療材料の約9割が輸入製品という現状のなかで、国内で新しい生体医療材料を生産することが、これからの日本の製造業の競争力を高めることにつながるという信念をもって研究に挑んでいます。そして何より、日本をはじめアジア人の骨格や、「正座」のように日本人特有の生活様式に適した生体・医療用デバイスを日本から発信することが、私たちの生活をより豊かなものにしてくれるはずです。